ひな*恋
「………………」



「………………」



変な沈黙に、襲われてしまった。



…いけない。

やっぱり、訊いちゃ悪い事を訊いちゃったんだ。

ご飯を作ってくれる人がいないから、こうやってうちの店に買いに来てくれてるってわかってたのに。

それをわざわざ本人の口から言わせるだなんて、私ってばどんだけ無神経な…



「…ぷっ」



「?」



まるで急に何かを思い出したかのように、彼は吹き出した。



「あっはははは…っ
ひなってば、おかしっ」



尚もお腹を抱えてケラケラ笑い出す彼に、私は理解できずにキョトンとした顔で見返す事しか出来なかった。



「あの、えっと…」



え。
私ってば、そんなにおかしな事を訊いた?


普段ご飯は誰が作ってるって、やっぱりお母さんがいるって事なのかな。

それをわざわざ訊くから、おかしいって…?




「前から思ってたんだけどさ、その“キミ”って呼び方。
今時そんな言い方する人、どこ探してもいなくなくない?」



「――――へ?」



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