ひな*恋
童顔はずっと自分でも思ってた事。

だけどもしかしたら、私ってば案外大人っぽく見える部分があったのかもしれない。


身長が低いからそう誤解されやすいだけで、ホントは………




「だってあんな時間に毎日働いてるんだろ?
高校じゃ無理だもんね」



「…あぁ……」



…見た目の判断じゃなかったようだ。

ガックリ。



「でもだからって、“キミ”は笑うよなっ
どこの真面目な優等生なんだって感じ?」



「そっ、それはぁ!
…だって、名前とか知らないから…それで…っ」



そうだ。
私の名前は訊かれたから教えたけど、彼の名前は聞いてない。

だからって別に知りたいと思ってたわけじゃなく、さっきも言ったけど私と彼は店員とお客さんの仲なだけ。


知ったところで、今後彼を名前で呼ぶなんて事は――――…




「慎吾(シンゴ)
俺は、慎吾ってゆーの。
ね、呼んでみて?」




…いきなり呼ぶ羽目になりましたよ。




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