曼珠沙華


どれくらい
見惚れていたのだろう


真っ赤な海のように
風が吹くたび
細波の如く揺れる


さわさわと葉が擦れる音
心地いい響き


そして
赤い”曼珠沙華”の中に
人影を見つけ


固唾を呑んだ



その人影が
”安島”だと気づくには
数秒と掛からなかっただろう


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