曼珠沙華



安島に手を引かれ
曼珠沙華の赤い花
頬を染めた少女



昼休み
西山先輩と
密会する聖女



この音楽室で
繰り広げられる
官能の世界



聴き慣れない音楽と
安島の声


妖艶に肌を晒す
白い肌の日高が
濃厚な匂いを纏い
安島に絡みつく


何もわからず
笑いながら


「俺の幼馴染
 可愛いだろ」


無邪気に照れる
安島が繰り返し
呪文のように唱える
幻覚と幻聴



僕は
吐き気に襲われていた



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