曼珠沙華
第九章 赤い舌
悪夢を見た
真っ白な
曼珠沙華の中
安島が手を振っている
”三上”
僕の名を呼んで
白い曼珠沙華の中から
白い手が伸び
安島に絡みつく
僕を睨み据え
憎悪の表情をした
日高の顔
”渡さない”
色白の日高の唇から
赤い舌が
安島の首筋を舐め上げ
笑いながら手を振る安島が
日高を抱き寄せ
白い曼珠沙華の中に
消えてゆく
メニュー