背徳の関係
均衡を崩す音、インターホンのチャイムが鳴ると、赤ワインの手土産片手に陽気な声が響きわたる。
「お邪魔しますよっと、おぉ亜美久しぶり!」
昔の事なんて全部嘘だったみたいな大雅の振る舞いに、私も一生懸命平気な顔をして小さく久しぶり、と答える。
「大雅食事は?」
「まだ、なんかある?」
「パスタなら」
悠希は一人暮らしが長いから料理が上手い。
特にパスタは絶品で私も何度もごちそうになっているんだけど……まさかね、焦る私に気付かず、悠希は、
「ワインと合いそうなの作ってくる」
と、背を向けてキッチンへと行ってしまった。