笑う門には君来たる
長々とした校長の話が終わり、入学式も終わりを迎えた。
予定されていた時間より、オーバー三十分の二時間もかかった。
気の進まない足取りで教室へ向かう。担任紹介が終わり、自己紹介へと進む。
進んでいく自己紹介が・・・
嫌いだった。
恨めしかった。
憎かった。
順番が回ってきたので、さっさと終わらせようと思うが、言うことが分からなかった・・・。
少し、後悔した。
「津市 愛梨です。よろしくお願いします。」
最低限の自己紹介だった。
「何あれ?」
「クールぶってんの?」
「クールぶってるとか、うざー」
「キモすぎ」
「あんな奴いたっけ?」
心無い言葉が浴びせられた。
だから嫌いなんだ。
だから、だから嫌いなんだ、自己紹介。
クスクス笑う子。
人を平気で傷つける子。
人間なんて、そんなもの。
どうせ、上辺だけのつきあいなんだから。
仲良くなんか、しない。
関わりなんか、しないんだから。
いじめられないように、教室の隅で生きていればいい。