紅い雪が降った夜から
紅い雪
………あぁ、なんて綺麗なんだろう。

そう思いながら僕は座り込んでいた。

そして見上げている。
黒い、何かを。


「逃げないのか」

「うん」


黒い何かは僕を見下ろしていた。
その姿の君はなんだか、牛みたいだ。


「なぜ」

「だって綺麗だもの。紅い雪もあなたの黒いたてがみも金色の角も」

 
そういって涙を流した僕を見て、困惑した君は……とてもかわいらしいと思った。
 
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