紅い雪が降った夜から
蜜色の瞳に宿る力
わかっている。
妖精の僕が彼女を愛するなんて、身分違いも甚だしい。
彼はどこか自虐的な笑みをうかべ、さらさらの黒い髪を掻き乱した。
…………………ダメだ。
溢れてしまう。
もしこの想いを彼女に知られたら僕はどうなるんだろう。
彼女は傷つくだろうか。
「…リクさまぁ?」
どこか間延びしたような独特な喋り方をする少女がリクの異状に気付き、駆け寄った。
「どぅされましたぁ?具合がわるいならぁ、マオが治してさしあげますよぉ」
マオの大きめのナースキャップを被った小さな頭には一本の髪もなく、血色の良い地肌が露出していた。
そんな頭を優しく撫で、リクは頬を緩めた。