紅い雪が降った夜から

玄関のドアを開けたとき、視界の端で何かが動いた。

お嬢様の部屋の窓から飛び立ったそれは、背中から黒い翼を生やした男のようだった。

たしか、名前がないままエリザベスに買われた執事だったかな。


「あっリクさまぁ!ナタリア様がいらっしゃらないみたいなんですけどぉ…」

「そうみたいですね。今から迎えに行ってきますよ」

「あい」

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