紅い雪が降った夜から
「貴女は賢いから。僕が誰だかわかるよネ?」

「エリザベスの犬」

「正解」


そしてすぐに無表情になり、その華奢な体でナタリアを抱き上げた。


「ねぇ、あんな馬にしないで僕にしなよ。僕なら貴女の嫌がることはしないし、なんでも言うことをきくよ?」

「じゃあ、今すぐ僕をおろして帰ってママにでも甘えてなよ」

「それは、だめだよ」


すぐにナタリアの願いを拒否し、いつのまにか全開になった窓の桟に足を掛けた。

「ママが貴女に会いたいと言っていた。契約には逆らえないよ」

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