ねぇ、好き。下
向こうの声
☆桃花saide☆
さっきまで、小さかった声がだんだん大きくなってくる。
耳を澄まして聞いてみると…。
「…桃、お前必ず帰って来いよ。俺は、ずっと待ってるからな?なぁ、だから…帰ってっ…来いよ…?」
この声は…
大好きな、凛の声だ。
「凛ー?凛、いるんでしょ?来てよ。出てきてよ。隠れてないで…来て?凛…」
呼んでも、返事がない。
「桃花、親友だからさ。帰ってきたらまた話聞かせてね?どんな話でもいい。きっと、今…あなたはさまよっているんでしょう?三途の川は渡ってはダメだよ?絶対に。川の中には、いない生物がいるなら入ってはダメよ…。絶対だからねっ…」
千尋?
三途の川…?
あれは、三途の川なの…?
あたしは、生と死の境目に今いるの…?
生の道は、どっちなの?
あたし、生きたい。
みんなに会いたい。
みんなと話したい。
「岩佐ちゃん、帰って来いよ。あれはさ、夢なんかじゃないってよ。姫花ちゃんが言ったんだ。あれは、現実なんだ。俺らが付き合った少しの時間も本物なんだよ」
幹也くん…
あれは、夢なんかじゃないの?
あたしと凛が家族なのも、あたしが癌で…死んだことも…?
じゃあ、どうして…あたしは生きてていじめに遭って…
今度は、生と死の境目をさまよっている…の…?
「また、肝試ししようぜ」
晴くん。
いるんだ。
「今度、千尋と俺と凛と岩佐ちゃんでさ…、Wデートしようぜ」
そっか。
あれは、夢じゃなくて現実なんだね。
でも、お母さんも、お父さんも、癌で亡くなったのに、今…生きてるのかな?
まぁ、なぞはたくさんあるけどあたしは帰らなければいけないんだ。
「イルカちゃん、お魚さんたち…じゃあね。あたしは、向こうには行かない」
すると、空からキラキラしているものが降ってきた。