わがまま猫男子いりませんか?
そんな龍の顔がわずかに赤かった気がする。

もう一度龍の顔を見ようと、龍の方を向いた。


「こっち見んな」

「なんで?」

「なんでもだ」


見たいって言ったり見るなって言ったり、やっぱり龍はよく分からない。


「髪、きれいだな」

龍はそう言って、ゆっくりとあたしの髪を梳く。

あたしは大人しくされるがままになっていた。

なぜか、ドキドキして落ち着かない。

頬が熱くなっているのが自分でも分かる。

あたしは忙しなく視線を動かした。

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