わがまま猫男子いりませんか?

フラフラした足取りで廊下を歩くと、遥香先生に見つかった。


「綾菜?今、授業中じゃないの?」


「あ、えっと……」


あたしは思わず口ごもる。

実はここまで来る途中で、授業開始のチャイムが鳴ったんだ。

つまり、あたしは授業をサボっていることになる。


「すいません。今、教室に行こうと思ってたんです」


あたしはそう言って、また歩き出す。

本当は走って行きたいところなんだけど、痛くて走ることが出来ない。

痛みに耐えながら、一歩一歩進んでいく。


「綾菜、待って」


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