わがまま猫男子いりませんか?
「あなた、あるトラウマがあるそうね?」


ビクリとあたしの肩が震えた。


嫌っ、嫌だ、思い出させないで……っ。


「あなたのこと、少し調べさせてもらったわ」


一ノ城さんなら、グループの力を使って調べることが簡単にできるだろう。


記憶から消すことは出来ても、記録として残る。


あたしが憶えていなくても、他のひとが憶えてる。


でも、どんなに忘れても、ふとした瞬間に思い出してしまう。


「あなた、猫を飼っていたんですってね。名前は、“リュウ”」


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