若葉町物語
この4西病棟はナースステーションを真ん中に12個の病室が囲むようになっている。
出て左に進むとナースステーション。
そしてその前には“プレイルーム”がある。
そこには、安田さんとちぃすけが遊んでいた。
「あっ、千花ちゃ〜ん!」
ちぃすけは私を見つけると、嬉しそうに笑った。
その笑顔が幼らしさを表していた。
安田さんとちぃすけが私に手招きをしたから、私は両手を動かして車イスを前進させた。
プレイルームに踏み入れてみると、普段は目にしない光景があった。
部屋の一角にある本棚にはマンガが上から下まで並べられていた。
なぜ、そんなにマンガがここに置いてあるの!?
目を一人でパチパチさせていると、
「このマンガたちはぜーんぶ寄付されたやつなんだよ!」
とちぃすけが教えてくれた。
「へー…。すごいね」
そんな会話をしていると、安田さんが近づいてきて、
「見たいマンガがあったら、取るけど?」
そう言われたけど、なんだか申し訳なくて軽く断った。