若葉町物語


そんな昔の思い出に浸っていると、あっという間にお昼ご飯の時間になっていた。


「一緒に、プレイルーム行こうよ!!」


ちぃすけがそう言ってくるから、喜んでそうすることにした。


手を洗ってから、綺麗に並べてあるテーブルに車イスを設置すると、私の分のお昼ごはんが目の前に置かれた。


ちぃすけは車イスじゃないから椅子に座って食べるけど、私と同じように車イスに座って食べている子も居るし、点滴をしたまま食べている子、安田さんや看護師の人が食べさせてあげている子もいた。


“此処"が病院という一つの場所。


病気が軽い人もいれば、重い人もいる。


病気が治る人もいれば、治らない人もいる。


そんな、いろんな人が集まる場所が病院なのだ。


きっと私達は鳥籠に捕まった鳥のように白い部屋でいつまでも、もがき続ける。


これからの月日が私にとって忘れられない思い出になる事を、その時私はまだ知らない───────。
< 21 / 66 >

この作品をシェア

pagetop