若葉町物語



プレイルームには小型のオーブンがあるから、白むすびに醤油をかけて焼くんだ。


今日のお昼は和食だから、焼きおにぎりを食べることが出来る。


さっさと食べ終えると病室に戻った。


時計の針は12時20分を指していて、10分ぐらい余裕があった。


「千花ちゃん、新しい子がまた来たみたいだね。


「そうだね。この病室に入ってきた子、見た?」


小さな声で私は聞く。


「うん。見たよ」


「どんな子?」


「幼稚園生くらいの女の子だよ」


それを聞いて私はがっかりした。


最近は小さい子供が多いから、同い年の子にきて欲しいのに…。


そんなことを思いながら息をつく。


ちぃすけが唯一、対等に会話できる相手だもん。


この前の夜なんか、眠れなくて、病棟をブラブラしてたら夜勤の望月さん、通称もっちーに小ちゃい子のお世話をまかされた。


ぽんぽんって軽く叩くだけだけど、なかなか寝付かないし、こっちが逆に眠くなっちゃたよ。

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