若葉町物語


私は、自分の歯ブラシセットを持つと、洗面所へ向かった。


シャコシャコと、自分の歯を磨く。


ちぃすけがいなくなるのはさびしいけど…、笑って退院して欲しいな。


そう思うと、少し気持ちが楽になった気がした。


部屋に戻ると、ちぃすけのお母さんは、もういなくて、代わりにちぃすけが義足を外しているところだった。


「ちぃすけ…。いつ退院するの?」


「えっと、先生がカテーテルも抜かないといけないから、来週の金曜日」


※カテーテルとは、医療用に使われる中空の柔らかい管のことである。管腔部または血管などに挿入し体液の排出、薬液や造影済などの注入点滴に用いる。


「そっか…。さみしくなるね」


「うん。千花ちゃんも早く退院できるといいね」


「…ありがとう」


私はベットに移ると、色々考えをめぐらせた。

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