若葉町物語


また、昨日みたいにすいませんを連呼するのかと思うとちょっとね…。


ちぃすけへの色紙が完成したのは、ちぃすけが退院する前日だった。


ちぃすけのベットは、どんどんきれいになって…鮮やかだったのがどんどん白紙に戻されていって、本当にいなくなるんだなって…。


いつも、ベッドの横にかけられていた3つの千羽鶴もなくなっていた。


それが、わたしの心みたいで、なんだか笑えた。


今日の夜は、わたしとちぃすけにとって、最後の夜。


だから、たくさんお話をしようと思う。


“最後の思い出”にね───────・・・。


「明日でお別れだね」


電気が消されてから、ちぃすけがポツンとつぶやいた。


「…うん。」


言いたい事はたくさんあるのに、いざとなると何を話せばいいかわからなくなって、黙ることしかできなかった。


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