月詠姫〜癒しと鬼一族編〜
"チリン…"

「ん?」

「どうした?月」

「鈴の音…」

「鈴?聞こえた?拓真」

「いや、俺にはあんまり…」

二人には聞こえないんだ…小さかったし…気のせいかな。

「やっぱ何でもな…」

"チリンッ!!"

「「「!!!」」」

「聞こえた!!」

「あぁ、俺にもはっきり聞こえた!!」

「こっち!!」

私達は鈴の音が響く方へと走る。心臓がいつもよりバクバクいってる…何だろう…早く行かなきゃ…




「ここって…」

「公園?」

「しかも私達がよく遊んだ月夜公園…」

着いた場所は、私達が子供の頃遊んだ公園だった。公園の真ん中に大きな桜の木が埋められていて、春になるとお弁当を作ってここで食べていたほどだ。

「ねぇ、あの桜の木、おかしくない?」

「確かに…今は冬だ。けど、何で咲いてるんだ?」

「しかも満開…」

桜の木が、咲いていた。今の季節は冬で、どう見ても季節外れだ。
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