月詠姫〜癒しと鬼一族編〜
「いいえ…私は月様の世話役ですから。当然のことをしたまでです」

妙さん…なんていい人なんだ…ちょっと感心しちゃうよ。

「今から会いに行くけど、歩けるか?」

「無理…立つだけで痛いもん」

「しょうがねぇなぁ…」

そう言って東雲はあの時みたいにかがんだ。何だかんだで、優しいんだなぁ…東雲って。

「…クスッ」

「何がおかしい」

「ううん、別に(笑)」

「ふーん…じゃあ、妙。こいつ連れてくけど…いいよな?」

「はい。大丈夫です」



廊下に出ると、広い庭園が続いていた。庭園の中には、小さな池が一つ…

「(本当に、違う世界に来たんだなぁ…)」

「おい」

「何?」

「…いや、何でもねぇ」

「あっそ」

そのまま私達は、黙って廊下を歩いた。小鳥のさえずり、花のほのかな香りー…私の知らない世界が広がっていた。

「着いたぞ」

目の前は豪華な感じの襖があった。なんか、緊張してきた…
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