月詠姫〜癒しと鬼一族編〜
「"月夜隊"…っ!?」

「くっそ…逃げるぞ!!」

男達は一斉に逃げ出した。しばらく沈黙したあと、野次馬から拍手喝采を受けた。

「すごかったぞー!!」

「月夜隊かっこいいー」

「メガネの兄ちゃんも良かったぞー!!」

屋根の上から人影が降りてくる。その人はボサボサ髪に赤色の鉢巻きを巻いて、黒と金色の法被を着ていた。

「月!!」

「月、大丈夫?」

後から雅さんと桜華さん、真央君が遅れてやってきた。桜華さんは私を抱きしめ、雅さんは男の人の前に立ちはだかる。

「お前…何もんや…!!」

「俺は月夜隊隊長、拓だ」

「月夜隊…?」

拓ー…それに、月夜隊って…

「もしかして…拓真?」

「…?月…?伊織…」

逆光と見慣れない法被で分からなかったけど、その姿は確かに拓真だった。

「拓真…っ!!」

「拓真…無事だったんだ…」

「…っ2人共…!!すまねぇ、面倒事に巻き込んじまって…!!」

私達が抱き合っていると、いつの間にか私の後ろに葉月さんがいた。

「そなたが月の幼馴染みか?」

「あんたが東楼国の国王か?」

「そうだ。幻影館に来て欲しい…そこの者も」

「…はい」

再会を惜しむ間もなく、私達は幻影館に戻ったー…
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