月詠姫〜癒しと鬼一族編〜
「凄いね…」

「そんな凄くねぇよ。最初の一年間は大変だったんだ。俺が目覚めた場所は"北匣国"って言って極寒の地だったからな」

「北匣国…?」

「そうだ」

拓真は法被の袖から地図を出した。

「いいか?ここは日ノ本と言って、海に囲まれている島国だ。んで、日ノ本は4つの国がある。北から"北匣国"・"東楼国"・"西鈴国"そして"南慶国"だ。今俺達がいる国は…ここ東楼国。東楼国は政治や天候などが豊かで、畑や田んぼが多いんだ」

「へぇ〜…」

「なんか、地図を見る限り日本みたいね」

「日ノ本は古風…と言っても、江戸時代の日本みたいだったな」

たった三年なのに、拓真がずいぶん大人に見えた。拓真ー…変わったなぁ…

「なんだよ…」

「ううん、別に…ただ、変わったなぁって思っただけ」

「三年も経ってりゃなぁ…そう言えば月。お前…本当に月詠姫なのか?」

「え?」

「月詠姫…?それ何?」
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