月詠姫〜癒しと鬼一族編〜
夜。

「はぁ〜…」

東雲は「商店街に用事がある」と言って商店街に帰り、伊織はお風呂に入っている。

「よぉ」

「東雲…」

「大丈夫か?足…」

「うん。すっかり痛みも引いた。ありがとう」

「俺は何もしてねぇ」

「「…」」

「この世界の夜は静かだね…」

「そうか?…元の世界に帰りたいか?」

「ううん…。……私ね、5歳の時に両親を交通事故で亡くしてるの。私の世界には車って言う乗り物があって…今で言う馬車かな。その乗り物同士がぶつかって…私は奇跡的に生き残ったけど、両親は即死…だから、私がいなくなっても…悲しむ人なんて、いないから…」

「そうか…」

不思議…なんで私、会って間もない人にこんなこと話してるんだろう…何でか分からないけど、東雲といると安心するー…

「月?お風呂空いたよ」

「うん、ありがとう!!じゃあ、入ってくるね」

伊織がお風呂から上がり、私はそこから立ち去ろうとした。だけど…

「おい」

「…っ」

東雲に呼び止められたー…

「お前は一人じゃねぇ…俺がいる。俺が守ってやる」

「…っありがとう…!!」

私は涙を見られまいと早足でその場を去った…
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