月詠姫〜癒しと鬼一族編〜
「雅さん…ですか?」

「そう」

さっきの出来事を真央君に話す。すると真央君は、ニコリと笑った。

「やっぱり、面白い人です」

「え?」

「素のままの貴女でいいと思いますよ?」

「素のままの…私ー…」

「はい(笑)…あ、一緒にゆとりの間に行きませんか?迷子になってたんでしょ?」

「あ、うん…」

素のままの私、か…これからは月詠守護者には敬語は使わずにいようかなぁ…




「おはようございます」

「おはよう、月。真央」

ゆとりの間に着くと、葉月さんと紫苑さんが座っていた。

「あら、真央と一緒に来たの?」

「あ、桜華に雅…」

「おぅ!!」

襖に突っ立っていると、桜華と雅がやってきた。雅は先程のことが無かったかのように、私に笑顔を向けていた。

「あれ?月、早いね」

「あ、伊織…」

調理場から、伊織がお盆を持ってやってきた。よく眠れなかったのか、目の下に隈が出来ている。

「この料理、あんたが作ったの?」

「はい。僕はまだ、守護者になるか決まってないので…でも、これだけは僕の取り柄だから、せめて料理だけはやろうと思って…」
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