月詠姫〜癒しと鬼一族編〜
「ねぇ、東雲…」

「ん?」

「紫苑さんって…どんな人?」

月詠姫になったからには、守護者のことも知らなければいけない…そう思った私は、東雲に紫苑さんのことを聞いた。

「紫苑なぁ…俺にも分からねぇんだよ」

「え?」

「アイツさ、俺がここに来た時からあぁだったんだ。葉月に同じ事聞いたけど…答えてくれなかった。桜華は"いずれ話してくれる"って言ってたけど…まぁ、よく分からん」

「そうなんだ…」

「真央が同じ国出身だから…真央に聞けば分かるんじゃね?」

「うん、ありがとう」

私がそう言うと、東雲はニコリと笑って私の頭をくしゃっと撫でる。

「焦んなよ」

東雲はそう言って欠伸をしながらその場を去って行った。…東雲は優しい。私の心は、いつの間にか東雲に向いていたー…

私に向けられる笑顔・言葉ー…全てが魔法にかかったみたいに…

「るーな♪」

「うわぁ!!」

後ろから声がして振り向くと、そこにはニッコリ笑っている桜華と雅がいた。

「お、おはよう…」

「おはよう♪月♪」

「おはようさん♪」

そのまま2人は私の前を通り過ぎる。
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