月詠姫〜癒しと鬼一族編〜
「美味しい〜♪」

歓迎会から一週間。私と拓真は、雅と桜華がよく行く食事処「蛍」に来ていた。

ここは東楼国でも有名な食事処…お店も大きくて二階立てで、奥行きも深く畳席と机席があり、私達は一階の奥の席に座った。

「せやろ!?ここの牛丼定食は最高にうまいんやで!!」

「私ははいからうどん定食が好きね」

「親子丼うめぇな」

話ながらも、食事を続ける。すると厨房から若い女の人が出てきた。

「お客様、本日はお越しいただきありがとうございます。ここ"食事処・蛍"の女将…清乃言います。どうか、ごゆるりとお過ごしください」

そう言いながら、清乃と名乗った女の人はお辞儀をした。

「清乃!!そんなかしこまんなくてもええで!!コイツらは俺のダチやさかい!!」

「あ、えと…神崎月です!!よろしくお願いします!!」

「森野拓真だ。よろしくな!!」

私達が自己紹介をすると、清乃さんはニコリと微笑んだ。

タタタ…

「おい、花!!あぶねぇ…っ」

ドタッ

私達の机の前で、女の子が転んだ。男の子が手を差しのべて、着物に着いている埃をはらう。

「ったく…前見ろよ」

「お前…空じゃねぇか!!」

「拓兄!!」

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