月詠姫〜癒しと鬼一族編〜
私は花ちゃんの目線に合わせてしゃがむ。すると花ちゃんは私が怖いのか、少し後ろに下がった。

「はじめまして、花ちゃん。私は神崎月。よろしくね!!空君もよろしく」

「おぅ!!よろしくな、月姉ちゃん!!」

空君は太陽みたいな笑顔を見せて、私と握手した。花ちゃんも少し笑ったけど、また無表情に戻ってしまう。

「さぁて!!帰るか!!」

「勘定は俺が払っとくさかい」

「ありがとう、雅!!ごちそうさまでした〜!!」

お店を出た私達は、雅を待つ。目の前のお店に可愛い置物が置いてあった。そこに行こうとした時…

ドンッ

「あ、すみません…!!」

「大丈夫ですか?こちらこそ、ぶつかってすみません」

「…っ!!」

驚いた。そこには拓真と瓜二つの顔があった。私がじーっと見ていると、後ろから声がした。

「月ー!!早くしろ!!」

「あ、うん!!あの、ぶつかってすみませんでした!!それでは、また…」

「あの!!」

「え?」

「良かったら、お名前教えていただけませんか?僕は原田正也です」

「私は神崎月です」

「月さん…いい名前ですね」

「ありがとうございます」

原田正也ー…そう名乗った彼は、一礼するとそのまま去ってしまった。

「…」

「月、どうしたんだよ。さっきから呼んでるのに…」

「拓真…」

「ん?」

「世界って、不思議だね」

「はぁ?何言ってんだ、お前」
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