青空に届け

普段テレビなんて
全く見ないから、まさか
青空くんが芸能界で働いているなんて
知らなかった。


それなのに
気取らずにみんなに対して
優しい青空くんは
本当にすごい人だと思った。


そのまま鐘が鳴り
私たちは、それぞれの席に着いた。


高校生活初めての
授業は自己紹介で
正直自分の番が回ってくるのが
怖かった。


前の席の星蘭ちゃんの
自己紹介が終わり
とうとう私に順番が回って来てしまった。


みんなの視線が私に
向けられ、私はとりあえず
立ち上がる事しか出来なかった。


何もしない私を見て
次第に教室もざわざわし始めた。


どうすれば良いのか分からずに
私は、ずっと下を向いて黙っていた

その時、突然青空くんが
立ち上がり私の手を掴んで
黒板の前まで歩き出した。


そして
黒板の前に立つと
私に小声で 


「ほら、自分の名前と
出身の中学、誕生日書きなよ。」


そう言って
私に小さく笑いかけた。





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