【コラボ】忘れられないヒト

呼び出しのコールは、すぐに切れる。

まるで佳乃からの電話を待っていたかのように、崇文は弾んだ声で電話に出た。


『た、高村さん!仕事お疲れ様です。』

「ありがとうございます。関さんも、お疲れさまでした。今、よろしいですか?」


すぐに出たと言う事は、携帯をいじっていたのかもしれない。
佳乃は冷静に崇文の状況を考慮し、会話内容を考える。


『あの・・・驚かれましたよね、突然お誘いしてしまって。』


嬉しそうに電話に出たと思ったら、さびしそうな声に変わる。
子供っぽいその変わり身さえ、微笑ましい。

「いえ・・・。何かご相談でもおありでしたら、時間を作らせていただきます
が。」


仕事ならば、昼間でも外出にすれば良い。

なにも、飲みに行かなくてもいのだから。


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