【コラボ】忘れられないヒト
(俺って、分かってくれるかな。)

声をかけなくても分かってもらえたら、舞い上がってしまうかもしれない。
姿が見えても、あえて声をかけないでおこうか。
そんな悪戯を思いついてしまった。

(あ・・・高村さんだ!)

腕時計を気にしながら、小走りで近付いてくる佳乃が見える。


悪戯は、成功するだろうか。
それとも、失敗で、気付いてもらえない?

佳乃に会えた緊張とは別の緊張が、崇文の背筋を伸ばす。



「関さん、お待たせいたしました。」



(え・・・?)


迷いもなく、真っ直ぐ。
佳乃は崇文に微笑みかけてくれている。


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