【コラボ】忘れられないヒト
「素敵なお店ですね。」

適当に料理を頼んでから、ウエイターの居なくなった個室。
努めてにこやかに、佳乃は話しかける。
緊張からか何も話さなくなってしまった崇文は、その言葉にようやく肩の力が抜けたようだった。


「ありがとうございます!・・・って、俺の店じゃないですけどね。」

「でも、連れて来て下さいましたから。本来なら、接待させていただくべきは、私の方ですし。」


佳乃の仕事発言にむっとしたのか、帽子を取った崇文の眉間には、深いしわが刻まれていた。


(あ、やっぱり、仕事絡みは嫌なのね。)


あくまでも仕事の領域を出るつもりの無い佳乃は、内心溜め息を吐く。



「接待じゃなくて、デートっすよ。」



眉間のしわがとれないまま、崇文は佳乃の目を真っ直ぐ見てそう言った。
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