【コラボ】忘れられないヒト
テーブルの下でぐっと拳を握ってから、佳乃に差し出した飲みかけのギネスをあおる。
佳乃が少しだけ、驚いた顔をしたのが見えた。


苦い。


それでも、今の佳乃の言葉よりは、甘い。



「高村さん。俺は・・・。」



一気に飲んだからだろうか。
少しだけ、ふわふわと浮遊感がある。



「俺は、高村さんがいいんです。」



一目惚れだと、笑われてもいい。
困ったような佳乃の顔を、本当の笑顔にしたい。
作られたいつもの微笑みじゃなくて、心からの笑顔を。
この際、大爆笑でも構わないから。


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