【コラボ】忘れられないヒト

「あの、た、高村さん!」

会議が終わって、メンバーが皆立ち上がり、佳乃の誘導で会議室から出ようとした。

その時を狙って。

崇文はドアの前で立つ佳乃の前を通る時、思い切って声をかけた。

ボーカルの深音や、ベーシストの翼。ドラムの渚。

メンバーの驚く視線を浴びながら、崇文は緊張した面持ちで佳乃の前に立つ。


ナンパは、正直苦手だ。
これがナンパだとは思いたくないが、相手にそう思われても仕方がないかもしれ
ない。

だが、今日を、ここで終わらせたくない。
その思いが、崇文を動かした。


「はい、どうされました?関さん。」


微笑む佳乃の冷静な対応が、崇文に否が応でも年の差を感じさせる。
ここで、なんのアクションも起こさなければ、次の会議まで会えない。


その間、およそ1ヶ月。


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