【コラボ】忘れられないヒト
「俺の事、子供だって笑って下さって構いません。でも、俺は・・・。」
言葉を続けようとする崇文に、佳乃は静かに首を横に振った。
これ以上、言わなくてもいいと言わんばかりに。
「高村さん!」
言わせてほしい。
どうしても、伝えたい言葉なのに。
「これ以上は・・・週刊誌に撮られでもしたら、大変ですから。」
そんな理由なのかと、ガッカリした。
グラスを傾ける佳乃の表情は、読めない。
別に撮られてもいい。
彼女はただ、それを理由に自分から逃げているだけだ。
崇文は直感的に、そう思った。
「じゃあ、好きな人がいるんですね。」
それ以外に、考えられない。
思った事をすぐに口にしてしまうのは、よくない事だと分かっている。だが、聞かずにはいられなかった。