【コラボ】忘れられないヒト
鈍い鈍いとさんざん言われてきた崇文にすら、佳乃が過去に出来ていないことぐらい分かる。


「・・・まだ、好きなんですか?」


好きだと、言われたら。
自分が苦しい思いをするのに。

佳乃は静かに首を横に振る。



「嘘です。」



崇文は言い切った。
目の前の佳乃は、目を丸くして崇文を見つめている。



「そんなの、嘘でしょ。だって、高村さんの顔に、その人の事が忘れられないって、書いてあります!」



いつの間にか運ばれてきたウイスキーを、手に取る。
そのまま口に持っていけば、独特の香りが鼻をくすぐった。
それだけで酔いそうだ。

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