【コラボ】忘れられないヒト
「すみません、高村さん!」


大柄な男性が、2人きりだった個室に入って来る。


「堺沢さん、すみません。突然お呼び立てしてしまって・・・。」

「いえ、こちらこそ本当にすみません!」


佳乃が電話をかけたのは、崇文の所属するWORLDS ENDのベーシストである、翼だった。
マネージャーにかけようかとも思ったのだが、プライベートなので、メンバーの方がいいかと思ったのだ。

翼は本当に申し訳なさそうに頭を下げ、崇文の肩を乱暴に揺さぶる。


「おい、崇文、起きろ!」


残念ながら、全く起きる気配は無い。
やがて翼も諦めて、呆然と事の成り行きを見守る佳乃に向き直った。

「高村さん、本当にすみません。あと、ご連絡ありがとうございました。」


もしも佳乃が“よくない人間”で、崇文を自分の自宅に連れ込んだりしていたら。

それを、週刊誌に撮られでもしたら。

大問題になってしまう。
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