光と闇のセカイ
だが……別に改善したいとは、思わない。



髪を染めたいとは思わないし、多分この性格は叩いても治らないだろう。



周りが何を言おうが、私にはBGMにしか受け取れない。



それに陰陽師を辞めれたんだから、それでいい。



やっと普通の学生に戻れた。



もうあんな不合理かつ不条理なモノにかかずらう必要もない。


-普通こそが、理想そのものだ!!-


それは今でもそう思ってる。




なのに…………




「……意味って……………


なんだろうな……………。」





心の隅に潜んでいた憂うつな想いを感じながら、





「普通」に生まれなかった自分に、心の中で嘲笑した。








* * *


屋上で本を読みふけっている内に、気が付いたら夕暮れになっていた。



途中で自動販売機で缶コーヒーを買って、文庫本を入れたリュックを背負って校舎を出る。



淡いオレンジ色の日差しが桜を照らしていて、中々幻想的だ。


花が咲いてから散るまで短い桜ですら、儚くも意味があるのに…………




私は意味なく今日を終え、明日も、明後日も………………


これからも、意味のない未来を、生きるのか……………



桜を見つめて憂うつな想いに沈んでいる内に、視界に“あるモノ”が見えた。



「…………………。」


なんとなくこのまま帰るのが惜しくて、“あるモノ”の方向へ足を進める。




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