光と闇のセカイ
* * *


校舎から離れた所で、目的の“あるモノ”の全体が姿を見せた。





--教会だ。



うちの学校は、校舎から離れた場所に寂れた教会がある。



曰わく付きとかで既に無人となっている一方、学校の伝説の舞台として密かなシンボルの1つとなっている。



教会を囲んでいるアイリスの花は蕾が出ていて、もうすぐで咲きそうだ。



相変わらず、寂れてんな………。




そう思ってた。






ある一点に気づくまでは。







「……あれ?」



教会の鍵が……開いてる。


確か、手入れはしていないハズ……。



不法侵入だとしても、あんなデカい南京錠は簡単に外せる代物じゃない。



第一、入学してから一度も教会は開放されてなかったし、


それ以前にも、開放されていないと伝え聞いている。




妙に思った私は、好奇心に勝てず教会に近づく。



キィ---っと、扉が軋む音をたてて中に入る。



中は普通の教会と変わらない。


ステンドグラスには天使と思われる女と、悪魔と思えぬ黒い翼を生やした男が描かれていた。



室内の暗さと夕日の日差しのせいなのか、伝説の通りステンドグラスの絵は悲恋を物語っていた。



ステンドグラスの天使と悪魔の絵に、無意識にあの時の夢を重ねてしまう。




伝説の天使と悪魔は、禁断の愛故に2人を許さなかった神によって呪い殺された。




夢の中の私と男は、何者かの攻撃で私は死に……、


男は絶望のあまり自分を刺し、後を追うように死んだ。



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