イタズラ ~TABOO~
日差しが届かない本棚の奥。
古書の埃臭さとインクの匂いが混じったこの場所で私たちはキスを楽しむ。
山口君の長い指が私のブラウスのボタンを外して行く。
「山口君?どこにいるの?」
菊池さんの声がした。
仕事を終えた菊池さんが小声で彼を探している。
「行かなくちゃ」
山口くんが耳元で囁いた。
彼は何事もなかったかのように本棚の陰から菊池さんに声をかける。
恋人に見せる笑みを浮かべて。