隠し蔵書ノ古書物語
揺りかごから何処へ
大正も終わりを迎えようとしていた頃。
ー帝都ー
「修一さん!またこんなに散らかして!!いつも言ってるではごさいませんか!!読み終えたのでしたらその都度片付けてくださいませ。と!?」
室内に入るなり怒鳴り散らす色素の薄い肌、髪、瞳。その少女は腕を組んでソファに腰掛け黙々と本を読み続ける青年を見下ろしていた。
「修一さんったら!聞いていらっしゃるの??まったく!」
少女が呆れたように散らかった本を一冊一冊拾い上げていると、今まで返事一言返さなかった青年が、パタリと本を閉じて少女をゆっくり見上げた。
「こんにちは。真子さん」
笑顔でそう言ったかと思うと、今度は徐に原稿用紙を取り出し、ペン先にインクを馴染ませ筆を走らせた。
こんな時、彼に何を言っても無駄なのだ。
少女と青年は親戚同士で幼なじみ。推理作家の彼はこの雪ノ下の邸宅で書生として学んでいるのだ。
ー帝都ー
「修一さん!またこんなに散らかして!!いつも言ってるではごさいませんか!!読み終えたのでしたらその都度片付けてくださいませ。と!?」
室内に入るなり怒鳴り散らす色素の薄い肌、髪、瞳。その少女は腕を組んでソファに腰掛け黙々と本を読み続ける青年を見下ろしていた。
「修一さんったら!聞いていらっしゃるの??まったく!」
少女が呆れたように散らかった本を一冊一冊拾い上げていると、今まで返事一言返さなかった青年が、パタリと本を閉じて少女をゆっくり見上げた。
「こんにちは。真子さん」
笑顔でそう言ったかと思うと、今度は徐に原稿用紙を取り出し、ペン先にインクを馴染ませ筆を走らせた。
こんな時、彼に何を言っても無駄なのだ。
少女と青年は親戚同士で幼なじみ。推理作家の彼はこの雪ノ下の邸宅で書生として学んでいるのだ。
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