365days
ずっと
「じゃあ、もういい」
いつものように吐き出した。その言葉を聞く度、うんざりする。
すぐそうやって投げ出す。すぐに向き合うことを放棄する。
悪い癖だ、と何度伝えれば君はわかるんだろう。
「もういい。もういい」
駄々をこねる子どものように繰り返す。
意見が食い違って、話し合ってもお互い納得できなくて、喧嘩みたいになると必ず吐き出される言葉。
いつもはこっちが折れて、わかった、と呟く。それでも微妙な空気は漂って、次の朝、顔を合わせると君は複雑を張りつけた笑顔を見せる。
「良くない」
だから、もう終わりにしたい。
声を大きくしたせいか肩をびくっと震わせた姿を少し可哀想に思った。
「全然良くないんだよ。投げ出すな、放棄するな。俺はお前の目の前にいる。だから、そんな簡単に諦めるな」
言い終えると、妙にすっきりした。そして、わかった、と呟いていた自分も投げ出して放棄していたことに気がついた。
「俺ももうしないから、だからちゃんと向き合え。こんなことで終わりたくないんだよ。まだまだ、ずっと一緒にいたいんだから」
君はゆっくりと頷くと、少しだけ頬を赤くした。
そう、ずっと一緒にいる為に、もう投げ出したり放棄したりはしない。その手を決して離さない為に。