あの頃のように
(本当なのか?

それとも——これも嘘?)


「どうして——」


勢いをそがれて、次の言葉が出てこなくなった。

ベッドに腰掛けると、隣に座るように沙稀に促す。



いいかげん気づいてた。

あの頃ユカと偽名を名乗っていたにしろ。

何者だったにせよ。


——今のこの子は、ごくごく普通の子だ。



「——なぁ。

君は一体何者なんだ?

——いや、何者だったんだ?」

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