あの頃のように
前島が大臣でいる間に何とかしたいんだ。

このままじゃ前島は次の選挙でもあっさり勝ち上がってくるだろう。


だからさ、無茶を承知で言うんだけど……


沙稀ちゃんが………」



「……え?」



小声で告げられた山下さんの提案に、思わずケータイを落としそうになった。


「無茶なことを言ってるのはわかってる。

でも、そんな方法しか思いつかないんだ」

「……無理です、そんなの。だって、あたし……」

「うん、すごく失礼なことを言ってるのは承知の上だ。

沙稀ちゃんのお父さんにもとても言えないよ、こんなこと。

でも、無理を承知でお願いしてるんだ」

「……山下さん……」

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