あの頃のように
「まぁね、もしかしたら犯罪かもしれない。

だけど、あっちは訴えないだろうよ。

息子の弱みを明るみに出すようなことはしないだろう」

「……」

「あっちも脱法的な行為でオレたちの金をかっさらっていったんだ。

こっちもこんな、道を外したような手じゃないと、とても対抗できない」

「……それはそうかもしれませんけど」


あたしは食い下がった。


「でもね、山下さん。

国会議員になるということは、自分や家族よりも国家の利益を優先するっていうことでしょ?

そういう意識じゃないと、とてもなれるもんじゃないと思うんです。

だって、国家を背負って立つ、尊い仕事だもの。

いざというときは、国のために命をかけないといけない。

――そんな国会議員が、息子さんを第一に守るなんてこと、あると思います?」

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