あの頃のように
ポカンとしている俺に、親父は深くため息をついた。


「……自分の身の回りは気を付けていたのに、おまえにマークが付いていたとはな」

「……マーク?」

「おまえがなにかヘマをしでかさないか狙ってたんだろうな。

ややこしいネタを握られたもんだ」


(ややこしい……ネタ?)


まだポカンとしている俺に、親父は苦々しくつぶやく。


「息子さんの将来が大事でしょう、社会的に抹殺されたら大変ですよ、と来た」

「……」

「まったくどうしようもないヤツだな、おまえは。

母さんには言うなよ、悲しませたくないならな」


(母さんを……悲しませる、だって?)

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