あの頃のように
久々に見た整った顔は、以前の面影をそのまま残していたのに。


(険しい顔をしてた——)


表情だけが違ってた。

とがめるような鋭い瞳。

どこかあざけるような、皮肉な口調も。



あの頃の潤也さんは、いつも穏やかで、本当にやさしくて。


(育ちがいいとこうなるんだなぁ)


いつも感心してたっけ。

恵まれた家庭で、大事にされて育った人。


あのとき自転車置き場で、見知らぬあたしを自然に助けてくれて。

お母さんへのプレゼントを難しい顔をして選んでた。

いつも真剣に話を聞いてくれる。素直でまっすぐな人。



自分の得ているものを他人に惜しげもなく与えようとしてくれる。

そんな純粋さに惹かれてた。

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