あの頃のように
ブーツに足を突っ込む。


ここからだと会社は遠い。

急がないと。




カチャ。

家の鍵を閉めて振り返って。


ふと顔をあげて、目に入った光景に思わず目を疑う。

ハッと、自分の息を吸い込む音が聞こえた。



すぅっと目の前に駐まる車。

見覚えのある、黒いセダン。


(……!)


ウィーンと音がして、窓が開くと。

はにかんだ笑顔が顔を出す。

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