あの頃のように
「でもそれは――俺には君しか考えられなかったから。

いくら考えても……俺には君しかいないんだ」

「潤……」


ちょっぴりおどけて、肩をすくめる。


「まぁ……ひとつだけ言わせてもらえば、

あのとき全部俺に話してくれたらなとは思うよね。

何らかの協力が出来たかもしれないって」

「……潤也さん」


あたしは潤也さんの顔を見上げて首を横に振った。


「ダメよ、そんなの。

潤也さんがお父さんを裏切れると思う?」


潤也さんは、首をかしげてちょっと考えた。


「……はは。それもそうだな」

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